コロナ禍以降の創作のあり方の変化
コロナ禍で小説がなかなか読めなくなり、また書けなくなった。
その中でできることと云えば詩歌を作ることで、こちらはコロナ禍前よりも盛んになった。
私が主催するおりひめ歌会も始めたし、ココア共和国に投稿を始めて佳作入選することも増えてきた。
先日書いたように、NHK全国短歌大会でも入選の内定を得ることができた。
ただ、それまでが平坦な道のりだったわけではない。小説講座でなかなか良いプロットを出せなくて、講師の先生から「これではプロになれませんよ」と云われたのはショックだったし、小説の道に見切りをつけざるを得なくなった。
先日読んだ一田憲子『日常は5ミリずつの成長でできている』に次のような文言があった。
以前、為末大さんにインタビューをさせていただいたとき、「今の人生の横に、もう一本の道がある、ということに気づけば、生きるのがラクになる」とおっしゃっていたことを思い出しました。
──一田憲子『日常は5ミリずつの成長でできている』大和書房、2021年、p54
小説の道しかない、とこれまではずっと思ってきたし、周囲からもそう期待をかけられ続けてきて、そのプレッシャーを感じてもいた。
それでも一旦コースアウトした時に、私を支えてくれたのは、趣味で10年ほど続けていた詩と、まだ詠み始めてまもない短歌だった。
以前、ホリエモンの『多動力』を読んだときに、随分と影響を受けた。彼の人柄はそこまで好きになれないし、彼の思想やそのフォロワーが必ずしも良いとは思えない。
さまざまなスキルを掛け合わせて、それぞれのスキル習得に100時間時間を費やすことで、オンリーワンの人材になれるというのがこの本の趣旨だ。
ビジネスマン向けに書かれた本ではあるけれど、創作にも十分生かせる刺激的な内容だった。
もう何年も前に読んだきりの本だけれども、その影響を少なからず受けている。
自分には小説しかないと思い詰めていたら、よほど苦しかっただろうと思う。現にこの数ヶ月は随分と思い悩んだりもしたけれど、それでもココア共和国での佳作入選がつづき、「私には詩歌の道もある」と思えたことが、結果的に身を助けた。
ココア共和国には本当に感謝しているし、自分の居場所を与えてくださったことをありがたく思っている。
詩歌の道はまだまだ歩み始めたばかりで、インプットも現時点ではまだ少ない。
それでも必死になって詩歌を読んで、もっと鑑賞力を高めて地力をつけたい。
短歌を誦じて覚えている主人に短歌読書会に誘われたので、さっそく歌集を選んで読み合わせられればと思っている。できれば主人とも旧知の仲であるおりひめ歌会のまさやまさんも誘いたい。
そうして他者との関わりの中で短歌を読めば、さらに読解力も高まるだろうと期待している。
小さな輪ではあるけれど、それでもこうした地に足のついた輪を大事にして、さらに詩歌に親しみ、自分自身の創作の向上につなげていきたい。