「不在の音楽」─越えられない夜のために─

evie-11.hatenablog.com

おかげさまでカクヨムランキングに一週間入り続けることができたので、新たに詩を公開しました。

不在の音楽

ここにあるすべてを

轟音だけで破壊してほしい

不在の音楽は力なく無音に支配され

非実在の空想は具象に置き換えられて

意味を失うことを恐れた言葉たちが

スピーカーから唇から街の灯から

絶え間なくオレンジ色で発されつづけて

私の耳は侵食されてゆく

無言の指によって

眠ることを強いられる夜を

多弁な指によって

食べることを強いられる昼を

幾度数えても数が合わない

絶望を奏でる指によって

轟音の鳴り響く夜を

五号のリングの光る指によって

守られつづける拒食の昼を

この手のひらに感じて

虚構だけで形作られた

世界を築きつづけるために

あなたの叫びをナイフに変えて

否という一字を告げる

kakuyomu.jp

私にとって詩は唯一無二の友です。

アンナ・カヴァンが、そしてシルヴィア・プラスが病を患いながら小説や詩を書きつづけたように、私にとって詩は、私が私であるためになくてはならない存在です。

詩がなければ乗り越えられない夜を幾度も越えてきて、今もその困難な夜のさなかにいます。

私の詩が、そうした夜を今迎えている方々にとって、わずかながらでも力になり得れば、これに勝る喜びはありません。

夜をうまく越えられずに、絶望の只中で朝方の夜明けを待つばかりの日々も過ごしてきました。

相談窓口もとうに閉まって、語り合える友もなく、膝を抱えてうずくまるのが精一杯という夜を何度も味わってきました。

絶望というものは、ただひたすらに耐えるものではなく、むしろそこに深く分け入って、味わい尽くすしかないものなのかもしれません。

私の詩に光はなく、ただ味わうばかりの苦味しかないかもしれません。

しかし辛酸を舐めて味わわなければ生まれない詩もあります。

そうした詩を書くに至らない方が幸せなのは云うまでもありませんが、私の持病はおそらく生涯つづくので、今後も幾度となく泣くことすらできない夜を迎えることになるのでしょう。

それでも共に詩があると信じられる限り、なんとか生きてゆきたいと思います。

私の詩が越えられない夜のほんのひとときだけでも、読者の方々の傍に寄り添えることを心から願っています。