折本頒布のことと短歌と
折本の有償頒布
折本の歌集と詩集を頒布しています。
はじめは有償(100円)でも手に取っていただける方がいるのか、不安でたまりませんでしたが、歌集は100首の中から選び抜いた30首をいずれも載せていて、日数と手間をだいぶ費やして作っているので、有償頒布とさせていただきました。
療養短歌をテーマに詠んだ、短歌30首を収めた折本歌集のPDFです。 失われた恋への挽歌、過ぎ去った夏へのノスタルジーをサブテーマとし、ダークでゴシック、耽美な作風を志向しています。
世の終わり詩神は死せず海の果てきみとふたたび巡り逢うまで
AnthemはCoccoだったね沈黙を守ってふたり白百合の園
ちょこっと文芸福岡に出展する予定だった歌集の折本です。 ゴシックな雰囲気が香る療養短歌30首を収めています。
青薔薇の冠授けよとこしえに無数の棘は言葉となれり
ちょこっと文芸福岡に出展する予定だった折本詩集です。 夜を歌った詩を四篇収録しています。
細部を検分する間もなく闇は濃くなり、男の、女の、あるいはそのどちらでもない声が満ちた密室に閉ざされたまま炎に包まれて、ちいさな球体を抱えてうずくまったまま、はるか遠くから聞こえてくる無声の音楽に耳をすませる。 ——「夜の音楽」より
はじめは手に取っていただけるか不安もありましたが、ありがたいことにブーストをいただいたり、長文のご感想をいただいたりして、大変励みになりました。
ここのところ短歌についていろいろと考えることも多く、このまま療養短歌というスタイルで詠みつづけていいものなのか迷っていた節があったので、ご感想をいただけたことは本当に勇気づけられました。
結局私は声高に何かを主張するよりも、絶望している人と同じ地獄に立って寄り添っていたいという想いが強いのだと思います。
その原点をここのところ忘れかけていたのかもしれません。
実はカトリックへの憧憬を経てから、やはりアイデンティティである神道に帰依して、その信仰心の発露を詠みたいと考えていたのですが、詠んでみても違和感が強くて、どうにもなかなかモノにならなくて、こういうことがしたいんじゃないんだよなぁ……という想いはここのところずっと抱えていました。
それでも「私」ということに視点を置くのがやはり短歌というものなので、その延長線上に信仰があったとして、それを詠む方法をもう少し模索しながら詠んでいければと思います。
まだ気持ちに折り合いがつかないところがあって、古典詩歌を学ぶことを通じて、何とか道筋を立てていきたいというのが今の願いです。