【短歌】アンナ・カヴァンに

アンナ・カヴァンに寄せた短歌を詠んだ。

アンナ・カヴァン

暗い部屋カヴァンの少女閉ざされて扉の鍵を開くとき逝く

隔絶の他者の言葉は届かずにカヴァンにのみ心ゆだねる夜

悲嘆をも解き放ち炎をかけよすべてを覆う膜を屠って

モノクロの夏屠ってよ言葉だけ鋭く磨いで病み果てたまま

鋭角の恋だけをただしていたい終わる世界の果てで逢うため

永遠の無言ののちに夏至近く痛みが憤怒に変わりゆく夜

悲しみの純潔だけを証してジューンブライド死にゆくさだめ

悲しみの硬度を保つすべだけを電子の海に流す舟待つ

きみにすら云えない言葉で呪ってよ世界が氷につつまれたなら

まだ恋に入りびたりたい閉ざされた部屋に火をかけ燃え朽ちてなお

執着を恋と呼ぶ罪囚われた部屋に氷の嵐来る夜

不条理な痛みと病分かち合う者のみ友として眠る部屋

罪の名を知らないままに忘れられ高楼都市ハイシティには嵐が来る

高楼都市ハイシティ心象のうちにそびえ立ち我が籍はなく病みゆくままで

 

 

これらの短歌は主に『アサイラム・ピース』『草地は緑に輝いて』にフィーチャーしたもので、高楼都市は『草地は緑に輝いて』のうち「未来は輝く」に登場する。

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 もともとは笹井宏之賞に投稿するために詠んでいた短歌のうちの一部だったが、但し書きが必要なものなので除くことにしたのだった。

うちいくつかはそのままでも意が通るので、ここには載せずに応募することにした。

短歌についてはこれまでも言葉を尽くして書いてきたから、今この場ではそれほど多くの言葉を割かない。

ただアンナ・カヴァンを想う時、私もまたその系譜に連なりたいと願う者のひとりなのだということを自覚せずにはいられない。

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