ふたたび図書館へ

段ボール二箱分の蔵書を減らしても、まだまだキリがないほど本が溢れてしまっていて、このままではいよいよ限界が来てしまうと思って図書館へ行くことにした。

 『スマホ脳』に電子書籍よりも紙の本が良いとあったので、電子書籍は今後あまり使わないようにしようと思っている。

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

電子書籍で買った本は、何度も読み返す本は別にしても記憶に残りづらい。記憶力が常人よりもかなり弱い私にとって、それは少なからざる損失になる。

ならば図書館で紙の本を借りて読んだ方が良いと思い至ったのだった。

 

図書館へ行くにも、うつをはじめとするメンタルの持病をいくつも抱えている身にとっては、数年前よりも図書館に足を運ぶハードルはぐっと上がってしまった。

そこでメリットを考える。

この際、本を買うよりも節約になるということは除外して、本当に私自身が図書館を利用する意義とは何なのかについて思いめぐらせたところ、やはり「もうひとつの家」としての図書館、あるいはアジールとしての図書館の重要性は、結婚して家に居場所が持てるようになった今でも変わっていないということに気づく。

実家にいた頃に書いたエッセイと、主張したいことは大筋では変わっていない。

kakuyomu.jp

しかし当時と異なる環境に身を置いていることもあり、図書館を利用する理由も変化しつつある。

 

実家は一冊たりとも本を増やすなという蒙昧無知な家風だったので、図書館を使わざるを得ない切実な理由があったのだが、結婚してからはむしろ本を自由に買うことが推奨されている。

身銭を切って本を買うことの大切さは私自身厭というほど分かっているし、それが図書館を利用することをためらう要因にもなっていた。

しかし否応なく本棚に限界は来る。

橋本麻里さんのように家を図書館のように改装できるならまだしも、私は賃貸住まいで、本棚を拡張することは現時点では難しい。

 

本を減らそうとしても減らせる限界までは整理を行っているので、もうどうしようもないのだ。古書を買ってすぐに売るという方法も、古書店が徒歩10分圏内に一軒もないという状況では難しい。

かといって宅配で買取を依頼するにも、ついつい後回しにしてしまって手間取ってしまう。

 

うつでものを整理することがとことん不得手になってしまい、できるだけものの総数をこれ以上増やさない方にシフトチェンジした方が理に叶っているのかもしれない。

病状にライフスタイルを合わせることは、これまでにも何度か別ブログに書き、中でも服に関しては自分なりに選ぶ基準を作った。

snowrabbit21.hatenablog.jp

図書館を利用することで、本の総数を増やさないということは、持病に沿ったライフスタイルを模索する上でとても重要になってくる。

 

また図書館を利用するメリットとして、積読本を置いておかずに済むという点が挙げられる。

私はどうしても積読本を溜めておくのが苦手で、読書家としてはあるまじきことなのかもしれないが、部屋全体の空気が重く淀んでしまう気がしてならない。

20代の頃はメンタルの持病はあったもののうつではなかったし、それなりに判断力も体力も気力もあったので、どんどん整理をして積読本をその時々の興味に沿う形で残すのみにしていた。

そうして本棚が常に新しい鮮度を保っていること、本棚の新陳代謝がスムーズに行われているということが、私の心の平和のためには大切なことだったのだ。

少なくとも私は数千冊の蔵書をひけらかしたいというようなタイプの読書人ではない。

 

さらに幸いにも近所に有名な個人経営の古書店があり、そこへ持って行けばたいていの本は気持ち良く買い取っていただけたことも大きい。

いわば本との幸福な付き合い方ができていたのだと思う。

しかし当時住んでいた場所を離れてからは、どうしてもそういうわけにはいかず、贔屓にしていたその古書店は閉店してしまい、本の買取を依頼することもできなくなってしまった。

やむなくブックオフに買取を依頼する他ないのだが、買取価格はもちろんのこと、本を売りたい場所ではないので、どうしても腰が重くなる。

 

 

云い訳がましいことをたくさん書いてしまったが、そのような事情があって、やむにやまれず図書館へ行った。

これまでの人生においてもそうであったように、私にとっては図書館はどうしても行かねばならないという想いで行く場所なのだろう。

かつて書物を求めて先人たちがどれほどの苦労を強いられたことだろうと、図書館へ足を運ぶたびに思わずにはいられない。

その苦労の一万分の一も私は味わってはいないのだから、ありがたいと思って、本を読むためにうつで弱り切った足を動かさねばならないのだ。

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そこで借りてきたのは、最近句作をはじめたこともあって興味を惹かれた本ばかりだった。

塚本邦雄『詩歌博物館』

石田波郷『江東歳時記 清瀬村』

『現代俳句大系 第八巻』

野崎泉『東郷青児 蒼の詩 永遠の乙女たち』

このうち東郷青児の本は一度同じ図書館で借りていて、ふたたび読みたくなって借りたものだ。

塚本邦雄『詩歌博物館』はなかなかの掘り出し物で、『現代俳句大系』は永田耕衣の俳句に触れたくて借りることにした。

『角川俳句』はもしかしたら投句をするかもしれないと思い立って書店で購入した。

読み終えたら気に入った箇所をスクラップしたいと思っている。