【5分で読書】作品のタイトルの改変について
おかげさまで、5分で読書短編小説コンテストで、連日ホラー部門のランキング上位26圏内に入っている。
最新のランクは22位だが、先日はこの作品で過去最高の16位に入ることができた。
PVも120をようやく超えて、期間内に200PVまで到達することを目標としたい。
これもひとえに応援してくださる読者の皆様のおかげで、新たにレビューや応援コメントもいただいた。
詳しくはぜひ作品にアクセスしてご覧いただきたい。
レビューについては、後日またお礼の記事を書かせていただくつもりだ。
ひとまず今回取り上げたいのは、タイトルについてで、この作品は元々「望月すみれに近寄ってはいけない」ではなく、「楽園の子供たち」というタイトルだった。
作品のイメージプレイリストは、曲の雰囲気も考えて旧タイトルのままにしている。
シニカルな思いをこめたタイトルで、個人的には作品の内容にはマッチしていると思うし、小説もこちらの方で通したかった。
そういうさなかに、先日早川書房が新人作家の作品のタイトルを改変して話題になった。
ひとりの読書好きとしての思いは旧タイトルの方が魅力的だと思ったし、買うなら旧タイトルを選んだだろうが、一方で本というものは売れなければどうしようもない。
商業的な動機があってのことだろうと思うし、それで本が売れるのならばそれはそれでかまわない。むしろこれを商機、あるいは勝機と捉えた方がいいのではないかと私は考えたのだ。
ここで旧タイトルにしがみついていては、書き手としての活路は見出せないのではないか、と。
またこの件について、私も愛読したことのあるプロのライトノベル作家の方が、肯定的な意見を述べておられたことも、ひとつの後押しとなった。
実際に商品を手に取るのは読者だが、本を売る戦略に携わっているのはプロの作家であり、あるいは編集者だ。
このニュースにはある程度重きを置いた方がいいのだろうと感じた。
実際に最近は書店へ赴くと、長文タイトルの本がずらりと並んでいるのが目に入る。
そのどれかを手に取るということはないのだけども、先日私はタイトルに惹かれて宇佐見まこと『るんびにの子供』という本を買った。
「るんびに」という言葉の不可解さが不気味さをあおり立てている。
ましてやそれがホラーにおいては得てして重要なモチーフとして登場する「子供」という言葉に接続しているのだから、思わず恐怖心を駆り立てられてしまう。
作中で「るんびに」という言葉は仏教用語であることが明かされるが、もしもこれが別のタイトルだったとしたら、私はこの本を手に取らなかったに違いない。
ホラーというジャンルにとって、恐怖はすでにタイトルからはじまっているのだ。
そういう経緯もあり、「楽園の子供たち」というタイトルよりは「望月すみれに近寄ってはいけない」というタイトルを選ぶに至った。
また応募作品を見てみて、「これらのタイトル群の中でもできるだけ埋もれないこと」というのも選ぶ動機になった。
この「望月すみれに近寄ってはいけない」というタイトルでもなければ、公開から二週間経った今でも上位ランキングに食い込むことはできなかったに違いない。
このようにヒロインの名前を冠したのは、書籍というよりも、普段全く観ていないトレンディドラマのタイトルを意識したのだが、観ていない人間にもそれなりのインパクトを与える以上、これを活用しない手はない。
もちろん内容が大事なことは云うまでもないし、私はこれまでタイトルにあまり注力してこなかったタイプの書き手なので、今回の試みは結果的にいい刺激をもたらしてくれたと思う。
タイトルで見栄を張るのは照れくさいという気持ちもあるが、まずはより多くの読者に届くことが大切だ。
カクヨムコンテストのように読者選考を経るのではなく、編集部による選考ということもあって、まだ5分で読書コンテストの結果は先が見通せないが、これをいい勉強として、これからも創作に励んでいきたい。