2020.10.12 魅惑の皆川博子作品

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どうにも肌に合わない小説を読んでしまい、気分を換えたくて、読み止しの『皆川博子作品精華 伝奇時代小説編』を読み進めた。

やはり私が書きたいのはこういう小説だという思いを新たにする。

ページをめくるたびに心が満たされていくのを感じて、私が本当に読みたかったもの、そして書きたいものはここにあると実感せずにはいられない。

皆川博子作品の中でも特に好きな『妖恋』の系譜に連なる作品集で、『花闇』を彷彿とさせる「繊夜」には痺れた。

妖恋 PHP文芸文庫

妖恋 PHP文芸文庫

 
花闇 (河出文庫)

花闇 (河出文庫)

 

 皆川博子の妖艶な作品の数々に魅せられて、ここまで色々と読んできたけれど、この『皆川博子作品精華』は「精華」と題するだけあって、どれも粒ぞろいで、ひっそりとひとりで味わいながらゆっくりと読み進めている。

そのたびに改めて自分の書きたい小説のあり方を提示していただいているような気持ちになる。

扱う地域も時代も幅広いのに、どれも等しく皆川作品としての矜持を保っている。それはどんなものを題材にしているにせよ、いずれにも腐乱した花のような濃密な香りがただよっているからに他ならない。

 

この濃厚な味わいに関して、私自身の話に引きつけて考えれば、何を書いても耽美主義的な色合いが出てしまって、今ひとつ個々のオリジナリティが際立たないというのがもっぱらの悩みだったのだが、それは持ち味と云い換えてもいいのではないかと気づく。

露悪的で、それでいて耽美なものを志向するという点において、皆川作品ほど優れているものを私は知らないし、これを自分の指針としたいと改めて思う。

その道のりは決して平坦ではない。皆川博子もはじめはミステリー作家としてデビューしたと云うし、私もはじめから自分の志向する作品を書いてデビューできるとは考えていない。おおよそ私の異世界ファンタジーは商業的に成功できる見込がないからだ。

とはいえ、たとえばホラー小説を目指してデビューを果たせたとして、そこから経験を積むことが叶えば、いずれは……と考えている。

まるで捕らぬ狸の皮算用だが、それでもそうした希望を抱かなければ、日々の糧として生きていくことができないので、これはあくまでも夢の話としてご寛恕願いたい。

おこがましいのは百も承知だ。

 

そうした持ち味を十全に生かし、あるいは高めていくためにも、今後はさらに皆川作品を読んでいきたいと考えている。

先だっては『愛と髑髏と』と『ゆめこ縮緬』を購入したばかりだ。

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『ゆめこ縮緬』は既読だが再読したいと思っている。

さらに積んでいる皆川作品もまだまだ数多い。

自分の方向性をたしかなものとするために、よりいっそう彼女の作品に触れて、自分の創作をより豊かなものへと発展させていきたいと願っている。

先日はエッセイ集が刊行されたばかりだが、まだ手元にはない。

かねてから気になっている歌集『Lilith』と併せて、いずれお迎えできればと思っている。

皆川博子随筆精華 書物の森を旅して

皆川博子随筆精華 書物の森を旅して

 
Lilith

Lilith

  • 作者:川野芽生
  • 発売日: 2020/09/26
  • メディア: 単行本