広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

『角川俳句』2019年12月号鑑賞記録

気に入った俳句を引用してまとめておきます。 

 惑星みな軌道を守る黒葡萄
曼珠沙華主の血しぶきの二千年
晩年に近づく秋の艶夢かな
――山下知津子「暗渠の上を」

 

月一輪凍湖一輪光りあふ
――橋本多佳子

 

冬の月蘭陵王の顔に射す
――松本旭

 

みちのくの星入り氷柱吾に呉れよ
――鷹羽狩行

 

千百年の法灯煌と山眠る
――渡辺恭子

 

暖炉灼く夫(つま)よタンゴを踊らうか
――三橋鷹女

 

剥製の鹿の眼の榾明り
――木暮陶句郎

 

しばらくは業の消えざり冬紅葉
――江崎紀和子

 

蓋開けて紅葉明かりのピアノの鍵盤(キー)
別れの文書く木星の香に籠り
天金の六法全書ふくろふ啼く
――荒井千佐代「和音」

 

桔梗や後百年はその辺に
鏡みな伏せて夜長を遊びけり
西へ逃げ菊人形となりにけり
――西村麒麟「耳」

 

雪螢いつしか敵を愛しおり
きしきしと胎児寝返る初氷
逆光に耳透く少女冬神楽
――山下正雄「薄氷」