【創作メモ】新作「my strange addiction」を書きはじめるにあたって

「all the good girls go to hell」を推薦作としてプロ作家の山川健一先生にご紹介していただいて、「この作品の連作短編を5,6作書くといい」というアドバイスをいただいたので、「all the good girls go to hell」を表題作として、一連のシリーズにすることにした。

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昨日から書きはじめたのは「my strange addiction」で、こちらもビリー・アイリッシュの曲。 

曲が好きということもあるけれど、コスメブランド「addiction」が好きなのと、タイトルが作品にぴったりだったので借りることにした。

おそらく一連の作品がビリー・アイリッシュの曲のタイトルになると思う。

内容は江戸時代の人形師とその妻のどろどろした地獄のような関係の話。生き人形という設定がちょっと猟奇的なので、江戸川乱歩っぽいかもしれない。短編集を一本読んだきりだけど。

江戸川乱歩名作選 (新潮文庫)

江戸川乱歩名作選 (新潮文庫)

 

この中に収められている「鏡地獄」が狂おしいほど好きだったのだけれど、あれもまあ云ってみれば 「my strange addiction」で、人間の魅力というのは何かしらに依存しているところにあるのではないか、ということをここのところ考えている。

私は煙草もお酒もSNSもソシャゲもやらないので、依存しているのはもっぱら夜という時間ということになる。夜更かしは不健康の一因になっているのだけれど、これがなかなかやめられない。

個人的にかれこれ四回目の鑑賞になるスカイクロラを夫と観て、やはりなにかしらに依存している人間というものは不健全だけども、だからこそ愛おしいし美しいと感じた。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

  • 発売日: 2014/08/13
  • メディア: Prime Video
 

 おそらく依存心がなければ恋愛は成り立たないし、夫婦関係も築けないし、そして破綻も破局も生まれないのだろう。

そういう危うさを書いてみたいと思う。

 

それにしても地獄のような小説を量産している自分自身に厭気が差すけれど、基本スタンスが江雪左文字の「この世は地獄です……」なので、まあしょうがない。

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ちなみにとうらぶからは離れて久しい。

この画像のクリアファイルは、展示に足を運んだ友人に送ってもらって、大事にしまっている。

 

振り返ってみると地獄のような半生を送ってきたし、その地獄は今なおつづいていて、その元凶が母にあることは主治医の折り紙つきで認められていることだし、もう思春期のころのように恨みつづけることにも疲れたので、今は毎日のように電話をして、ぐったりして電話を切るということを繰り返している。

独身の友達たちは皆働いていて忙しいし、病みつかれた子なし専業主婦の相手をしている暇なんてない。

 

そういうわけで小説を書くことを再開したのだけれど、地獄を量産しつづけることにも疲れている。小説と向き合う限り自分の地獄からは目を逸らせない。

比べるのはおこがましいけれども、伊藤計劃もまたそういう人間だったのではないかと思う。「地獄は頭の中にある」という『虐殺器官』の一節を思い出す。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

 魂の救済のために小説を書くしか私に残された道はなく、それでも書くたびに心を深く抉られる。もう少しこの地獄の只中に自分を放り込んでもがき苦しむのではなくて、少し距離を置いて俯瞰的なところから描ければ違うのだろうなと思う。

all the good girls go to hellはそういう距離感で描いた。

そこに描いた地獄はたしかに私のものではあるけれど、ある程度突き放して描くことで、どうにか小説として成立させることができたのだと思う。

 

その連作短編となる新作のプロットを練ってみて、またもや地獄を垣間見ることになってしまった。私がいずれ書こうとしている異世界ファンタジーも、あるいは細川ガラシャも、地獄を描くという点においては一致している。

とにかく気力体力がなければその地獄から生還することはできない。私の地獄には浄土から降りてくる地蔵菩薩なんていないし、心象風景の紅蓮地獄には年中雪風が吹き荒れている。春がめぐってくる気配はどこにもない。

しかし絶望の只中にあるからこそ祈りも生まれてくる。

そう実感させてくれるのがharuka nakamuraの音楽たちで、大学時代に知って以来、時にはライブに足を運んで愛聴してきた。

新盤「スティルライフ」は「音楽のある風景」以来、心から好みだと思える曲ばかりで、いずれライブで聴けるのが待ち遠しい。

スティルライフ

スティルライフ

music.apple.com

haruka nakamuraの音楽に地獄はない。あるのは美しい祈りだ。

しかし小説はその祈りという蓮の花の根にある泥沼も描かなければ、小説だとは云えない。蓮の花の美しさをどんなに説いたところで、小説にはなり得ない。それができるのは詩歌のみだ。

私の地獄がつづく以上は、私は小説を書きつづけるしかないのだろう。

その果てに、同じ地獄のどこかにいる誰かの魂が救われることを願って。