広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

【白鷺伝】設定を詰めていくことの面白さ

ファンタジー小説を書いていながら、これまではどちらかというと設定を詰めるのが苦手で、早く小説を書きたいという衝動に駆られることが多く、そのまま最低限のネタ出しをして見切り発車で書くということが多々ありました。

しかし今回取りかかろうとしているのは長編ということで、そうも云っていられず、ひたすら設定を詰めています。

まだまだ序盤ですが、お気に入りのサウンドトラックなどを聴きながら設定をひたすらノートに書いていく作業が楽しくて、村上春樹の云うところの「マテリアルの大きさ」が気になってきました。

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

 

 それでもできるだけ細部まで練るしかないのだろうなと思っています。

 

今回ベースにするのは記紀神話なので、大学で専攻していたこともあり、素地はある程度できていて、設定にも活かしているのですが、それだけだと「これは私のオリジナリティを差し挟む余地はあるのだろうか」という思いに駆られます。

そこでメインに据えようと思っているテーマに主軸を移すことにしました。

物語の構造や文法については神話学を専攻していたのである程度頭に入っているのですが、その王道を突き進むだけでは単なる記紀神話の踏襲になってしまいます。

そのテーマは近作を通じてずっと変奏を奏でながら扱ってきたものなので、一応私自身のオリジナリティがあるのかなと考えています。

平たく云えば「言葉」という問題ですね。「言語」と云った方がいいのかもしれませんが。私は言語学者でも哲学や心理学を専攻していたわけでもないので、なかなか扱うのが難しいテーマであることに変わりはありませんが、「言葉」や「言語」について日々感じることや考えることが多くて、その思考の質量を反映させることができればと考えています。ぼかして書くのはそれだけ私にとって大事なテーマだからです。

 

最長で100枚程度の小説しか書けずにいたのですが、これなら250枚ぐらいは書けるかなという素材は揃えました。

プロットも大筋でできていて、その補助線を引くためにひたすら設定を組んでいます。

血縁の因縁話なので、まずはじめに家系図を書きました。

メモを書き込んでいると、自分が母系社会で育ったことがそのまま反映される形となって、父系社会と母系社会の対立と捉えることもできるのかなと……。

熱量をこめて設定を練りながらも、ついつい冷静に構造的な分析を行ってしまうのは、大学での勉強の賜物ではありますが、やはりマテリアルが大きいですね。

でもカクヨムコンテスト5で中間選考を突破した「山妖記」も、民俗学×記紀神話をベースにした「瑠璃神話」も、国や種族と、扱うマテリアルはかなり大きかったので、どうやら私はそういうものの方が燃えるみたいです。

根っからのファンタジー気質な人間なのだと思います。

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kakuyomu.jp

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大きなマテリアルの中でいかに個人というものを描いていくかということは、現代においては社会における一個人をどう捉えるかという問題にもなるのでしょう。

私は現代を描くことにはほとんど関心がありませんが、私と社会との関係がそのまま小説の世界における「世界」と「私」の関係になることを考えると、そうないがしろにはできません。

それもまたこの小説の主要な柱のひとつです。

 

全体として大きく云えば「翠の鳥」の変奏となる作品に仕上がる予定ではありますが、物語の重要な要素は異なってくるのかなという印象です。

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長丁場で付き合っていくことになる作品になりそうなので、ひとまず不定期的にこうして創作メモを書いていきたいと思います。