広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

カクヨムコン5を終えて、どこへ向かうのか

カクヨムコン5が終わりました。

私は短編部門で最終選考まで残ったのですが、最後の最後に落選しました。

投稿したのは、和漢折衷妖怪ファンタジー「山妖記」という小説です。

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kakuyomu.jp

 

もともとカクヨムコンに応募するつもりはなくて、たまたま投稿するタイミングで渡りに船という感じでカクヨムコンが開催されていたので、どこまでいけるのかセルフお手並み拝見してみようという感じで応募しました。

この作品はいわゆるメジャーな異世界ファンタジーというよりは、エンタメ路線ではあるものの、古典風の文体で書いていることもあって、あまり期待はしていませんでした。

カクヨムが商業ベースに載せたい作品や、カクヨムが求めている作品でないことはわかっていましたし、そこまで落胆もしていません。

応募した当初は夫に「きみは限定本を出すような畑の人でしょう」と云われて呆れられましたし、知人からも「雨伽さんの作品にはカクヨムという場はふさわしくないですよ」と云われ、無謀もいいところだと重々わかっていたので、最終選考まで残れただけありがたいです。

ただひとえに読んで応援してくださった皆様には深く感謝しています。

 

中でも知人のスケザネさんの書評は大きな力になりました。

evie-11.hatenablog.com

これは私の読んだ嘉村(雨伽の別名義)作品の中で、最高傑作ではないでしょうか。
嘉村作品の強みである設定の魅力はそのままに、弱点であった設定や詰めの甘さが徹底的に煮詰められて、見事というほかありません。
特に血の色について、主人公が盲目だからこそ、苦しみ疑惑を深めるというのは設定と内容の深みが手を携えた、書き手としては会心の出来でしょう。
草花、動物、そしてそれを五感によって書き分ける技は芸術の域で、もしもこれで長編が書き切れたらえらいことになりますね。

加えて日本語のレベルに磨きがかかりました。
嘉村作品は以前から日本語については出色の出来で、それこそ日本語が売りの一つでしたが、より完成度が上がったように思います。
これだけ接続詞が少ないのに、スピード感とテンポのある展開を実現しているのは素晴らしい。接続詞があるとどうしても理屈っぽくなり、作品にそぐわないのですが、さりとて接続詞がないと文章として読みにくい。そのジレンマはほとんど感じさせません。
物語の交通整理、全体の構成を示すところ(特に冒頭のめまぐるしい説明)は改良の余地がありそうです。

たぶんこの書評がなければ応募はしていなかったと思います。

 

私は自分の実力を客観的に評価するということがとても苦手で、自信がなくてつい萎縮してしまったり、謙遜が過ぎて卑下しすぎてしまったりするのですが、人に読んでもらうことでこんなにも勇気をいただけるのかということを実感したイベントになりました。

普段は私の作品は読まない夫も読んでくれて、「これは雨伽作品の中では一番プロに近い」と評価をしてくれたことも力づけられました。

また文芸サークルの同期の友人も長文で感想のメールを送ってくれて、それも大変励みになりました。

そういうわけで、周りの人々に支えられたこともあり、私にとっては微力ながらも力を尽くした小説になったなと思っています。

 

プロになるのが厳しい道のりなのは、自分自身が重々承知をしているつもりです。

私の文体はエンタメ路線にしては小難しすぎるし、かといって幻想文学に寄るにはあまりにも意味の世界に囚われすぎていて、どっちつかずだと云わざるを得ません。

実際にプロからも、実力はある程度評価していただきながらも、難しいだろうと云われています。

そこで提案されたのが歴史小説で、私は新人賞の投稿のために歴史小説を書こうかと思っていたのですが、今回カクヨムコンに投稿してみて、異世界ファンタジーをもっと極めたいという気持ちが強くなってきました。

 

同じく作家を目指す夫とも話をして、先の「雨伽さんの作品はカクヨムにはふさわしくない」という知人にも云われたように「第二の山尾悠子を目指すしかないのではないか」ということを以前告げられました。

かなり狭き門になると思います。

山尾悠子はSFからデビューし、今自分がデビュー前だったら現代詩から入るだろうと『現代詩手帖』で語っていますが、私に現代詩は書けないので、このまま賭けに出るしかないのかなと。

現代詩手帖 2019年 07 月号 [雑誌]

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 それでダメならおとなしく歴史小説と向き合おうかなと思っています。

文体を一から見直すことも考えるタイミングがいずれ来るのかなと感じています。

それでも自分の文体にこだわりたいのは、私がここまでやってきたのはひとえに「文体を磨きぬく」という意識があってこそなので、そこを捨ててまで小説を書きたいかというと難しい。

私の文体もまだまだ完璧ではありません。理想と仰ぐ谷崎や鏡花には及びもつきませんし、まだ磨く余地は残っています。

だからこそこれからも小説を書いていたいと思うのです。

「文体」は私にとって間違いなく小説を書く原動力になっています。

 

来年、私は30歳になります。

夢を追いつづけることは何歳になってもできることだとは思いますが、10代の頃は20歳で作家になることが目標で、プロに目をかけていただいて、商業雑誌には寄稿できたものの、デビューにはほど遠い状況なので、30代のうちにデビューすることを目指して励みたいと思います。

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