【ヴァニタスの系譜】プロット改変・参考資料
あれから数日経って、フェミニスト的感性を持つ夫とみかんポスターについて話して、頭の中で整理がついた部分もあり、またTwitterのフォロワーさんとお話ししてとても勉強になったので、プロットを改変することにしました。
この記事ではその背景と、参考にしたい資料について語ります。
本作のプロットでずっと悩んでいたところに、フォロワーの磯崎愛さんがタイムリーなことをツイートなさっていたので、しばらくリプでやりとりさせていただきました。
経験が活きることもあるけど、知識と想像力と技術技法を使って書くものなので、自分は気にしない。
— 磯崎愛@コラボ花うさぎ (@isozakiai) 2020年2月17日
それよりは恋愛小説の傑作読んだり映画とか演劇とか観るほうがずっと役に立つし、なんなら恋愛ができるひとばかりじゃないという現実もある。
あと、人間の個人的な経験はそのひと固有のもので小説の大切なキモだから、大勢と違うことはなにも恐れることはない。
— 磯崎愛@コラボ花うさぎ (@isozakiai) 2020年2月17日
逆に知識の部分の誤り、整合性のなさとかは普遍性があるので読むひとが読めばすぐに変だってなるので、そっちのほうがおっかないと思ってる。
これ、いわゆる「リテラシー」てやつだな。識字率とか読解力ていう意味だけど、いまだとメディアリテラシーとか文化とか情報とかみたいにつくやつだね。
— 磯崎愛@コラボ花うさぎ (@isozakiai) 2020年2月18日
差別表現についてとかポリコレとかも入ってくる。これは情報更新、勉強しかない。あと自分の表現を守りたいときに使うものでもある。
個人的なリプライなので、リプのツイートを転載することはやめておきますが、磯崎さんとお話していて、やはりプロットを見直そうと思い、ここ数日はひたすらプロットの手直しをしていました。
というわけで、3000字ほど原稿を書いていたのですが、一旦全文書き直そうと思っています。
プロットを改変することにいささか抵抗感を抱いていたのはたしかです。
やはり私の書きたかったものは改変前のものなので。
それでも、センシティブな部分に手を加えて手直ししたことで、より深みを増した作品に仕上がりそうな予感もしています。
それは私にとって新たな発見でもありました。
正直なところ、昨今のポリコレの風潮に辟易してしまっていた自分がいて、「ポリコレを遵守すれば本当に素晴らしい作品ができるのか?」と懐疑的な目で見ていたのも事実です。
それでも、より物事を丁寧に扱おうとすることで、表層的な部分に留まっている美をより深めることができるのだと今回はじめて実感することができました。
「表面的・表層的な美を追求することが果たして正しいのか。『ファンタジーだから、フィクションだから許される』という時代は終わったのではないか」ということも考えさせられました。
そういう意味では大変良い勉強になったなと感じています。本当に磯崎さんには感謝しています。
そして、改めてこれからの時代に創作を続けていくことの厳しさや課題を感じた日となりました。
私は基本的には「誰も傷つけない表現はない」と思っています。しかし、日々あらゆる表現が炎上しつづける昨今では、自分の身を守ることも考えなければならない。
そういう時に自分が無知であるということをようやく認識したのでした。
正直なところ、私の古い感覚では理解できないこともたくさんありますが、逆に云ってしまえば感覚で分かろうとするから分からなくなってしまう。
ここはあくまでも理詰めで物事を整理していくべきだなと思います。
情緒に流されてしまうと、私の旧弊な頭では次々に炎上しかねない作品を世に問うことにつながりうるなと。
そういう意味でこの作品と「当事者のひとり」として向き合うこと、そして厳密に頭を使って物事を整理していくことは絶対に必要だと感じました。
磯崎さんに勧められたご本と、この小説を書くにあたって読んでおきたいなと思う本をまとめておきます。
磯崎さんのおすすめの本
サイードの『オリエンタリズム』はとある深夜にシノワズリについて調べていた時に、読まねばなと感じた一冊なので、ぜひ読みたいところです。
こうしてみると、私が関心を持っていたことはつながっていたのだなぁと感じます。このブログにも書いたように、私は西洋人が描いた中国が大好きな人間でもあるので……。
資料として読みたい本・参考にしたい本
小川洋子『ことり』は図書館で借りて読んで、いたく心を動かされたので買わねばと思っていたところでした。今回この作品を書くにあたって真っ先に思い出したのがこの小説なので、必ず買って読もうと思っています。
アールブリュットに関しては、私の友人が関わっていることもあり、実際に展示に足を運んだこともありますし、NHKの日曜美術館で紹介されているのを観たこともあります。
しかしもっと理論の部分で補強しておきたい。
私自身、精神的な疾患を持ちながら絵を描いている人間ですが、その「当事者である」という意識だけでは分かり得ないものもある。
そこを補完してくれるのはやはり本だと思います。知識として身につけておきたい。
こうしてみると、まだまだ勉強しなければならないことはたくさんあるなと感じます。これまでは専門だった記紀神話や神道のこと、それから文学のことについて学ぶ機会が多かったのですが、これを機に社会学の知識も取り入れたいです。