創作に救われる
短歌も俳句も下手の横好きでやっているのだが、今は体調が悪くて小説どころか詩も書けないという状況にある。そんな中にあって、五・七・五ないしは三十一文字という形式の決まった俳句や短歌というのは、詩を書いたり小説を書くのとはまた違う脳の部分を使うらしく、出来不出来はさておき、自分の納得できる一首ができるとうれしくなる。
字数の形式に合わせて言葉を選定していくのも面白く、ノートにあれやこれやと案を書いては線で消し、再び頭をひねるという作業が楽しくてならない。云うなれば小説の推敲の楽しさを原稿を書く作業とほぼタイムラグなしで味わえるといったところだろうか。
校正作業はわりと好きな方なので、ああでもない、こうでもないと頭を動かすのは良い体操になっている気がする。
先日は珈琲日和12に寄稿する六首の俳句と、短歌ハッシュ五月号に寄稿する短歌一首を詠んだ。
【参加者様募集中】ネプリ歌集「珈琲日和12」の参加者様を募集しています。
— 知己 凛 (@Chikorin7) 2019年4月24日
珈琲にまつわる短詩を募集しています。恒例のエッセイも任意で募集中。
参加希望の方はリプライまたはDMをください。投稿締め切りは7月21日です。
たくさんのご参加お待ちしています。 #珈琲日和12
#短歌ハッシュ 5月号の参加者募集します! テーマは特になし、絵を見てお好きにどうぞ。先日遠征した浅草を「猿」と「若」もみじを加えて描いてみました。美味しいものもあります☆ 申し込みはこのツイートにリプで、7名までお受けできます。お待ちしています#短歌 #tanka #ネプリ #ネップリ pic.twitter.com/5uXhFwSxpx
— usaurara卯楽々堂&花うさぎ (@usaurara) 2019年5月1日
人様の目に触れるということで、俳句に関しては無季語のものをこれまで詠むことが多かったけれども、厳密に季語を選び、さらに珈琲という題も詠み込んだ上で、六首が連作となるように一連の流れを作るという、これまでにない試みにトライできた喜びは大きい。
季語は夏を選び、六首を通じて初夏から晩夏に至るまでのストーリーに仕上げた。いつもの耽美要素を入れようとはあまり考えていなかったのだけれど、六首を並べたときにおのずとそういう香りが立ち昇ってくるかもしれない。そこは読者の皆様のご感性にゆだねたいと思う。
珈琲日和12はネットプリントにて8月上旬に頒布されるとのことで、9/8の文フリ大阪でも配布されるらしい。今から他の方々の作品を拝読するのが楽しみだ。
私は紅茶党ということもあって、珈琲にはあまりなじみがないのだけれど、夏の日に飲むアイスカフェオレは一等美味しい。そういう気持ちをしたためたエッセイも掲載される予定だ。
短歌ハッシュに関しても、自分はどちらかというと俳句向きの人間だと思っているのだけれど、参加させていただく度に短歌の魅力を感じずにはいられない。いずれまとまった形でオンライン上に発表するのもいいなと思っている。
ちなみにこれまで詠んできた短歌はこちら。
下手の横好きではあるし、本来不器用な人間なので、俳句も短歌もまだまだ勉強が足りないなぁという思いに駆られるのだが、こうして趣味で好きに詠めるという環境が今はありがたい。また何かしらのご縁があればこうした企画に参加させていただきたいし、自主的にももっと俳句を詠んでいければいいなと思う。
最後になってしまったが、昨年春の文フリ東京で頒布した合同誌『かもめソング』に寄稿した「翠の鳥」を公開した。
カクヨム上のいくつかの自主企画にも参加させていただくことにした。ダークファンタジーという定義に当てはまるかどうかは読者の判断にゆだねるが、私としては結構ダークな話だと思っている。
和漢折衷ファンタジーということで、前半パートは平安時代風、終盤パートは中華風という二部構成になっている。いずれも地続きの世界観ではあるのだが、私の創作テーマのひとつに「他界」を描くというのがあるので、中華風世界は「山中他界」として描いた。
「山中他界」を扱った小説には枚挙にいとまがないが、東雅夫編『文豪山怪奇譚』は何度も読み返している。
鏡花作品で「山中他界」を扱った小説というと「高野聖」はまず筆頭に挙げられるが、こちらの本では「薬草取」が収録されている。
……などと、自作の宣伝というよりは鏡花語りになってしまうのだが、とにもかくにも鏡花作品との出会いがなければこの「翠の鳥」は生まれ得なかっただろうと思う。
そして今、私は再び鏡花作品を読んでいる。しばらく間が空いてしまったが、鏡花の語りの文体や、描かれる女性像の典型について考えを深めつつ読んでいるところだ。
またいずれこちらのブログにまとめたいと思う。