止まった時間を動かしたい
院進ができないことが確実になった日からもう4年が経つ。あれからいろんなことがあって、得難い人たちとの出会いの中で少しずつ心が癒されつつあるけども、仕事をしていない私の時間はあの時のまま止まっている気がする、という話を彼にしたところ、「もう一度勉強してみたら」という言葉が返ってきた。
創作のクオリティを磨いていく上でも勉強は必須だし、そうして再び止まっていた時間が動き出すのなら、それに越したことはない。
#文系理系アンソロへの参加も決まり、再び記紀神話と向き合ってみようと決意を固めた。
大学を出てなにかとお世話になっている國學院の研究雑誌『新國學』を久しぶりに読み返して、山﨑かおり氏の論文から芋づる式に『國學院雑誌』を取り寄せることにし、日本の古本屋で益田勝実の記紀神話研究の本を迎えた。
こうして本を探していくのは卒論に夢中だった頃を彷彿とさせて懐かしい。学ぶ喜びというものを改めて噛みしめた。
また神話の勉強がすぐに創作に結びつくかどうかはわからないが、物語の祖型はすべて神話に集約される。
そう考えると決して無駄にはならないだろう。
体調面での不安もあり、大学院を受験することは今のところ考えていないが、本を買って学ぶことはどんな環境に置かれていてもできる。
そうした中で「ここは間違いない」という学術系出版社や、日本の古本屋を通じて本を買うことで、個人経営の古書店を少しでも応援できればいいなと思う。
以前、アジア遊学という東アジア全般にわたるさまざまな事物を扱った叢書を出版している勉誠出版がアジア諸国に対するヘイト本を刊行したことが話題になった。
私はすぐさまアジア遊学を二冊、新品で購入した。
Twitterでは勉誠出版を危ぶむ声が多かったけども、Twitterで声を上げるだけでは何も始まらない。
自分が良書だと思う本を買うことで、少しでも出版社によりいい本を出してもらう方がよっぽど理にかなっていると思う。
勉強したいことはたくさんある。記紀神話だけでなく、日本古代史、宗教学、民俗学、和歌、中国史など。おそらくこれらの点はひとつの線で繋がっているはずなので、日々無気力で死にそうになっている今だからこそ、知的好奇心を鈍らせないように励みたい。