【活動報告】真珠姫の恋
泉鏡花の「海神別荘」と、ルシール・アザリロヴィック監督の映画「エヴォリューション」にインスパイアされて書きました。
「海神別荘」では美女が海底にある琅玕宮の公子のもとへ嫁ぐストーリーですが、それを反転させてみました。云うまでもなくアンデルセンの「人魚姫」を意識したストーリーになっています。
古代と未来が直でつながるというのはSFの醍醐味だなぁと感じていて、その時間操作にロマンを感じています。これはもろにエヴォリューションの影響ですね。ラストシーンの云いようのない不安をかき立てる工場都市の様子は強く印象に残っています。
そしてかもめメンバーの御影あやさんからもうれしいご感想をいただきました。
もともと人魚姫すきなせいもあるのか、すごくよかった!水面からあがると滅びかけた世界だったというのも、海の世界の平穏さと荒廃している陸の世界が対比になっていておもしろい。オマージュ元の話も読んでみるね。
— みかげ (@IGYO10) 2018年12月29日
「海神別荘」は青空文庫でも読めますし、「夜叉ケ池」「天守物語」が併録された波津彬子さんの漫画もあります。漫画版の方は一昨年前に金沢の泉鏡花記念館でお迎えし、金沢二十一世紀美術館の原画展にも足を運びました。美麗なタッチで描かれる鏡花ヒロインの美しさは必見です。
花守
こちらは赤江瀑・皆川博子という幻想文学の代表的な作家たちの作品に触発されて書きました。
赤江瀑は実はあまり得意ではないのですが、一昨年前に図書館で借りて読んだ短編が未だに記憶の片隅に残っていたようで、何が役立つかわからないというのが創作の面白さでもあるのかなとあらためて実感しました。
皆川博子の方はというと、私、彼女の描く狂女が大好きなんですよね……。悲しくて美しくて、そして妖しい。さながら上村松園の花筐のようだなと思いながらいつも読んでいます。
上村松園の絵の中ではこの花筐が一等好きです。
◇俳句
歳時記をようやく手に入れたので、歳時記に沿って詠んでみたらいつもと違う作風になりました。実験的な要素が強いので、まだまだ試行錯誤の余地はあるなぁという感じですが、普段和風の句を詠むことが多いので、西洋的な要素を入れられて結構楽しかったです。
暗黒神話弐
大学時代に専攻していた記紀神話をベースに詠みました。やっぱりネタ元に親しんできただけあって、するすると詠めました。
夜刀神というのは『常陸国風土記』に登場する神のことですが、それ以外は古事記・日本書紀からとっています。梔子のきみは云わずもがな垂仁天皇のことですね。
神話というものは何度読んでも面白いですし、読むたびに新たな発見があります。
昨年末に石川淳の『新釈古事記』を再読したのですが、これがもう語りの妙が効いていてぐいぐい引き込まれました。
古事記の面白いところ、わくわくするところだけを抜き出してまとめてあるので、古事記に初めて触れるという方にもおすすめです。
睦月幻想
タイトルに窮してこんな表題になりました。
昨年歳時記をようやくお迎えしまして、いつも体調が悪いおりに臥せりながら詠むスタイルで俳句を詠んでいるのですが、こちらの本はハンディで扱いやすいので横になりながらでも活用しやすいです。
歳時記があるといつものノリでもまた雰囲気の違う俳句が詠めたり、季語からインスピレーションが湧いてきていいですね。