おかげさまで近ごろはTwitterでご感想をいただいたり、個人サイト紫水宮でリアクションをいただくことが増えて、本当にありがたいかぎりです。
この場を借りて御礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
9月~10月初旬にかけて書いたものを以下にまとめてみました。
■俳句
月下秋愁
月をテーマに俳句を詠みました。月というモチーフへのあこがれは、私が全体の作品のテーマとして掲げている、雪月花の中でもひときわ強いのですが、公開したのが9月ということもあって、今ここでこの題で詠まねばなんとするという気持ちで詠みました。
暗黒神話
神道と仏教をテーマに詠みました。記紀神話のツクヨミの解釈には個人的に釈然としないものを感じていたのですが、今年の中秋の名月を見上げていたときに、「ああこれならたしかにツクヨミはウケモチを殺すわ」と腑に落ちたのがきっかけでした。いったい何を云っているのやら……。
全体的なイメージとしては中上健次の『千年の愉楽』のような、聖なるものでありながら修羅のようでもある、煮えたぎる情念の世界を俳句に託しました。
■詩
小夜遊戯
帰省先の長崎で書いた詩の一作目。花あやめという言葉は萩原朔太郎の詩からお借りし、全体的な雰囲気は行きの飛行機で読んでいた森茉莉へのオマージュです。西洋風の耽美な詩はこれからももうちょっとバリエーションを増やしていきたいところです。
最後の手紙
長崎から東京の友人に宛て書いた手紙が思うように書けず、詩に託したのがこの一作。丸山遊女の派手好みな袖、というのはいわゆる「長崎衣装」のことなんですが、固有名詞だと伝わりづらいのでこういう形容になりました。
宿借記
こちらも長崎で書いた一作。谷崎潤一郎「秘密」にインスパイアされた作品で、僧坊を間借りしている旅人の目線で書いた一作なのでこのようなタイトルになりました。行きの飛行機でエロスとアガペーについてぐるぐる考えていたのが如実に出ている気がします。竹雀氏から「美僧がまたひどい目に遭っている」と評されましたが、美僧はついいじめたくなりますね。
たましいのふるさと
故郷に帰って書いた詩。生まれは市街地の方なのですが、祖母の家に預けられて田園風景が広がる田舎で育ちました。
数年ぶりに帰った故郷では猪よけの柵が里全体にわたって張り巡らされ、かつては花やお神酒が供えられていた祠や水神・土神の碑も、草木に埋もれてしまっていました。その光景を詩に仕立てました。次回作はまた違った切り口と語りで故郷について詩を発表する予定です。
■エッセイ
白洲正子とわたし
高校時代を経て大学時代に再会した白洲正子との思い出をエッセイに綴りました。このような出会い方をした文筆家は後にも先にも彼女だけだと思います。奇遇といいますか、奇縁といいますか……。白洲正子ファンの方はもちろん、そうでない方もぜひご覧ください。