「翠の鳥」をかもめソングに寄稿しました。
かもめソングに詩「翠の鳥」を寄稿しました。
新作が公開されました。雨伽詩音「翠の鳥」(詩)https://t.co/DQB3Hi3fO0翠の鳥
— 文芸同人サークル・かもめ (@kamome_song) 2017年3月4日
岩波文庫から出ている『蕪村文集』に収録されています。もともと彼とのふたり読書会のテキストとして読んでいたのですが、この箇所が好きで好きで。
東洋的ユートピア世界って、昔からあこがれるんですよね。
かもめメンバーのいっこさんからも癒やされるとの評をもらってうれしかったです。
竹雀氏からも感想をもらいまして、「小説向きのネタだね。鳥を殺すのってロマンなのかもしれないね。他の動物だとグロテスクになってしまうし」とのことでした。
鳥を殺すといえば、私の頭に真っ先に浮かんだのは三島の「孔雀」でした。
孔雀を殺すことに一種の倒錯的快感を覚える男の話で、頭でっかちな三島の短編にしては理屈抜きにうつくしい作品だと思います。
東雅夫『文豪怪談傑作選 三島由紀夫』に収録されているので、三島がお好きな方はぜひ。
竹雀氏は川端の「禽獣」を挙げていましたが、こちらは私は未読なのでそのうち読みたいです。
鳥と人といえば、やはり忘れてはならないのは宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の鳥捕りでしょう。鳥を食べるという行為をあそこまで美に昇華できるのは賢治ならではだと思います。

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奇しくも今年は酉年ということもあり、また近頃は野鳥に目が行くようになって、こういう作品を書くこととなりましたが、鳥は文学的な要素を多分に含んだ生きものなのだということを改めて感じました。
それから竹雀氏に「雨伽の詩は二人称が多いね」と云われて、そういえばそうだなあと思ったのでした。
今回は蕪村が俳人だったということで、軽みを出そうと落語家の語りを意識してみました。
落語はさほど詳しくはないのですが、大学時代に授業で触れる機会があったので、深く印象に残っています。
特に枝雀の創作落語「山のあなた」が好きでして。つらいことがあると時折思い出しています。
お察しのとおり、カール・ブッセの「山のあなた」が元ネタになっているんですが、枝雀さんが幸いを表現する際に「白いふわふわしたもの」と云うのがとっても素敵です。
桂枝雀 Shijaku Katsura 山のあなた 落語 Rakugo
文体の話に戻りますと、もともと手紙を書くのが好きな性分なので、二人称の詩は特に書きやすいのかもしれません。
谷崎の「盲目物語」や、カズオイシグロ『日の名残り』、あるいはもっとさかのぼると『古事記』といった「語りの文学」にも多分に影響を受けている気がします。
『古事記』は原典もそうなんですが、三浦佑之先生の『口語訳古事記』が本当にすばらしいのでおすすめです。『古事記』をほとんど読んだことのない方にこそ推したい一作となっています。

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物語を聞くことそのものが大好きなので、自分もひとりの語り手として物語を紡げたら素敵だなあという意識がどこかにあるのかもしれません。
こうして自分が気に入ったものをレコメンドするのも好きですし「物語を共有する」ための手段として二人称を用いるのは、けっこう効果があるのかなとも思います。