今年は同人小説に親しんだ一年になった。
自分自身も文芸同人サークル「かもめ」を立ち上げたこともあり、同人小説に触れるおもしろさを改めて感じている。
創作同人イベントとしては、昨年秋の文フリに行ったきりだったけれど、推し作家さんのご本を通販で買うことが増えた。
そこで、今年読んだ同人小説について振り返ってみたい。
■佐々木海月さん
Twitterがきっかけでご本を購入させていただいた。
昨年webで購入した『星の指先』が気に入ったので、今年は『夜さりどきの化石たち』と、新刊『フリンジラ・モンテ・フリンジラ』を購入。
『フリンジラ・モンテ・フリンジラ』に関しては、すでに感想の記事を書いた。
『夜さりどきの化石』たちに関しては、近いうちにじっくり読み返してから感想を書くことにしたい。
ここのところ体調が安定しないこともあって、なかなか読書がはかどらないのだが、そんな中でも彼女の小説は静かに、そしてやさしく私に孤独を味わせてくれる。
それから海月さんのご本がきっかけで、彼女が参加なさっている深海×神話アンソロジー『無可有の淵より』も購入した。
感想の記事はすでに書いたので貼っておく。
このアンソロジーで新たに気になる作家さんたちに出会えたので、やはりアンソロジーはいいものだなぁと改めて思った。
中でも気になったのは彩村菊乃さんと孤伏澤つたゐさん。
今後、個人誌の方もぜひ購入させていただきたいと思う。
■唐橋史さん
『青墓』を読んですっかり世界観に魅了され、先月には『出雲残照』を拝読した。
以下、読書メーターの私の感想より転載する。
◇『青墓』
去年秋の文フリで買ったまま放置していたのをようやく手に取った。読みはじめてみると勢いが止まらず、一気に読了。遊女宿「青墓宿」を舞台に盲目の遊女獅子吼午前を軸として物語が進んでゆくのだが、登場人物たちのバリエーションの豊かさ、プロットの際立つストーリー展開に魅了された。循環してゆく構造なのは途中で察しがついたけれど、無理のない筆運びでうまくできているなぁと感嘆した。和風幻想小説好きにはぜひ読んでいただきたい一冊。
◇『出雲残照』
WEBにて読了。記紀神話好きにはたまらない、ヤマトと出雲をめぐる物語。ヤマトタケル伝説に根ざしたヤマトタケル像に胸がきゅんとしましたが、それにも増して張旦から見たイズモタケルのぐう聖然としたキャラ造形がツボでした。などと書くと萌えに傾いた感想になってしまいましたが、神話のリノベーションの新たな形を見いだせた気がします。張旦の一人称視点で描かれているので「物語ること」を意識した古事記の再解釈としてとても良かったなあと感じました。ぜひ冊子を手元に置いておきたい作品です。
ちなみにこちらの『出雲残照』は下記リンクから無料で読めるので、ぜひ。
出雲残照 - エブリスタ - 無料コミック・小説投稿サイト