11月に読んだ本
優『Sugar Garden』
繊細な少女たちと群れ咲く花々に、少女時代に抱いていた憂鬱と、儚い思い出を重ねてしまいました。そんな乙女の記憶がぎゅっと濃縮した一冊だと感じます。傷ついた心をそっと撫でてくれるような絵画の数々に、ほんのひとときの癒しを得ました。
内田彩仍『大切なこと』
内田さんの本はこれで4冊目。
個人的には戸建てでの暮らしよりも、マンションでの生活の方が親近感を抱いて読めたのだけれど、お庭の様子など随所に素敵な要素が盛り込まれていて癒された。
それでも私が惹かれるのは内田さんの繊細なメンタリティなので、もっとそういう部分についてより深く触れた箇所があればいいのにと思ってしまった。
全体的にコロナ禍の不安もあって、これまでよりも気持ちのゆとりのなさや、緊張感の感じられる文章で、読者としては癒しを求めて読んでいるので、マンションでの生活を描いた本の方が好みだなと思う。
上篠翔『エモーショナルきりん大全』
溢れ出る詩情と、死への止まらない欲求が雪崩れるように歌になっている。藤原龍一郎が上篠翔の短歌は「スピード」だと評していたのにも全く頷ける。まさに今読みたかった、激しくも愛おしい歌集だった。
遠藤周作『影に対して』
表題作があまりにも良くて、終始泣きながら読んだ。他に「影法師」に描かれる神父の弱さ、「雑種の犬」に描かれる主人公の当てのない悲しみが、今の私の心に深く染み渡った。長崎のローカル局で遠藤周作のドキュメンタリーを観たことがきっかけで手に取った一冊だったけども、実母との関係に深く悩む私にとって、またとないタイミングで出会えた本となった。
『&Premium 』2022年1月号/『角川短歌』2021年12月号
私の好きなharuka nakamuraや青木隼人が紹介されていたり、冥丁が音楽を紹介していたので手に取った。
もちろん音楽の特集ページも魅力的なのだけれど、それ以上に自分自身がどのように静かな時間を作るかということの方がよほど大切で、私にとっては平日の昼間のお茶の時間がそのひとときに当たるのだろうと思う。
あいにくと常に何かしら書いていないと落ち着かない人間だし、持病もあって本を読むこともなかなか思うようにできない日々がつづいているけれど、主人とそれぞれの場所で本を読むひとときはこんなにも静かで豊かなものなのかという発見もあった。今後ともその時々で読みたいもの、読みやすいものを手に取って、読書習慣をつづけていきたい。
川野芽生の短歌10首を目当てに買ったのだけれど、彼女の短歌よりも水原紫苑の葛原妙子の直系と思しき耽美的な短歌の方がよほど優れていて素晴らしかった。
他にも詩人を彷彿とさせる魚村晋太郎の「鉄琴」や、メンタルヘルスを詠んだ西巻真「夜の歌」、これぞ短歌の技巧と思わせる小松久美子「濁音」など、何かと見所が多かった。
推し作家を応援したい
振り返ってみれば、今年はコロナ禍もあり、また持病の悪化もあってなかなか画廊に足を運べず、心苦しい想いをしてきた。
それでも代わりと云ってはなんだけども、ネットを利用してさまざまな推し作家さんの画集や作品を買い求めた年でもあった。
中でもTwitter経由で知ったり、その後Twitterを通じて作品をお迎えする機会も多く、今はTwitterは身内垢のみ運用しているけれども、こういう時にはTwitterでの出会いは貴重だなと感じている。
Solalisさん
Pixivから出会って、原画をお迎えするほど大好きな作家さん。
ノンバイナリーで中性的な、少年と少女の狭間にいるキャラクターたちを描きつづけるお方で、その繊細な表現に魅せられる。
青薔薇と天使をモティーフとした作品群は、私自身の創作に少なからず影響を与え、『青薔薇頌』はSolalisさんの作品へのオマージュとして生まれた。
日香里さん
Twitterでたまたまこのリルケ詩集と出会い、そのノスタルジックな画風に魅せられた作家さん。
物憂く繊細な画風と、童話のような世界観の絵画の数々に心惹かれた。
mtさん
Twitter経由で偶然知るに至った作家さん。
耽美な鉛筆画の数々は見事の一言で、モノクロームの世界の中にたしかに鮮やかな色彩を感じられる作品ばかり。
ゴシック趣味にはたまらない画風が魅力的で、今後とも作品を追いつづけたい作家さんのひとり。
優さん
花と少女を組み合わせたモティーフを描きつづける作家さん。
その繊細で優美に物憂げな少女たちを描く作風は、少女時代に憧れた少女像を表現していて、画集は即決でお迎えした。
Twitter経由で知ってからというものの、出展なさっている画廊でのWEB展示があれば欠かさずチェックしている。
フランスガムさん
Twitter経由で知るに至った作家さん。
外国の絵本を彷彿とさせる童話チックな画風と、センスのある色彩が魅力的で、さまざまな場所で活躍しておられる方でもある。
Twitterでは拝見していたものの、なかなかまとまった作品を拝見する機会に恵まれずにいたのだけれど、今回詩画集とポストカードをお迎えすることができて、ようやく宿願が叶った。
中にはなかなか個展に足を運びたいと思っても行けずじまいになってしまったりした作家さんや、作品をお迎えしたいと思っても、高額でなかなか手を出せない作家さんもいる。
それでもこうして画集などをお迎えすると、幾らかでも推し作家さんの応援になるのだろうし、自分自身、心理検査で「知的なことと芸術が好き」という評価をいただいたので、自分の心の糧とするという意味で購入させていただいている。
なかなか画廊に行けない日々がつづいて、フラストレーションも溜まるけれど、ここ最近はWEB展示をしてくださる画廊も増えてきていて、Twitterでその情報を得るようにしている。
特にアングラサブカル画廊に関しては、近年閉廊・休廊が相次ぎ、作家さんにとっても、そして鑑賞する私自身にとってもつらい状況にある。
そうした画廊を少しでも応援できればと思うし、作品を描きつづける画家やイラストレーターの皆さんにはくれぐれもお体にお気をつけて、今後とも素晴らしい作品の数々を作りつづけていただきたい。
トピック入り御礼と日記の電書化構想
こちらの記事が「創作」「読書・マンガ」カテゴリでトピック入りしていました。
ご覧いただき、ありがとうございます。
ここのところ思うように本を読めていないので、なんとか挽回したいところです。
先日は『&Premium』1月号と『角川短歌』12月号を読めたのだけれど、どうにも薬の副作用やら、離脱症状やらで参っていて、なかなか本を読めずにいます。
日記を電書化したいという思いがあって、ここのところエッセイや日記を読んでいます。
ただ電書化するにあたって、ロイヤリティのことを考えると、記事をその範囲分は非公開にしないといけないのがいかんせんネックで、同人誌にするだけの気力・体力的余力があればいいのだけれど、決してそうではないので、ちょっと困ったなぁと思っているところです。
少なくとも今は病状も安定していないので、しばらく先になるのは間違いないのかなと。
ここのところうつの悪化の予兆がいくつか見られることもあって、来年、再来年とかなり長いスパンを取って様子を見ようと思っています。
まずは日々の創作が大事なので。
ひとまず体調を整えることを最優先に、あまり無理のない範囲で創作をつづけていければと考えています。
第4回笹井宏之賞落選作50首を折本として頒布中です。
第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。 病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。
この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって
「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで
ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏
ぜひDLしていただければ幸いです。
世界を記述する夢
aranさんのDJプレイを流しながら、即興でSF掌編を書いた。
小説を書けなくなって久しいけれど、なんとか形になって少しほっとしている。
今回書いた「世界を記述する夢」は、日々日記やブログを書きつづける自己というものを相対化したいという思いがあって書くことにした。
そういう点では「all the good girls go to hell」に通じるものがある。
電子図書館の構想はかねてからあって、これまでも掌編や詩という形で書いてきた。
過去の作品としては、以前Twitterのフォロワーさんの短歌にインスパイアされた掌編などがある。
図書館という場所に対しては並々ならぬ思いを抱いてきた。
それは図書館エッセイ集『図書館という希望』にも書いてきた通りだ。
ブログ「広寒宮」で綴ってきた図書館にまつわるエッセイに書き下ろしを加えた、図書館エッセイ集です。
「もうひとつの家」としての図書館との付き合い方や、蔵書にまつわること、一利用者から見たコロナ禍の図書館の記録、幼少期に通った図書館との思い出など、今だから読みたい内容をぎゅっとまとめました。
本書が図書館を愛するすべての人の友となりうることを心から願っています。
-収録作品-
図書館という希望
ふたつの棚
図書館という友人
ふたたび図書館へ一
図書館の使い方を模索する
コロナ禍の図書館について
蔵書の整理
ふたたび図書館へ二
先達の目とBANANA FISHにみる図書館の精神
図書館という知の海に漕ぎ出す
図書館で知を拓く
学校の図書室の思い出
非常事態宣言下の図書館
本書に登場した書物
そうした自己というものと相対するために人は小説を書くのかもしれない。
プロになれるとか、なれないとか、そういうことは一旦傍に置いておいて、今は少しずつ再び小説を書く道筋をつけたいと考えている。
また昔のように描けるようになるか、正直なところ自信はないけれど、それでも日々創作やブログの執筆を通じて、書くことからは目を背けないでいたい。
現在第4回笹井宏之賞に落選した短歌50首を折本にして頒布中です。
第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。 病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。
この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって
「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで
ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏
併せてよろしくお願いいたします。
停滞を打ち破りたい
先日上篠翔『エモーショナルきりん大全』を読んで、その詩情溢れる疾走感に圧倒されて、作歌を再開した。
しかし私はまだまだ読む量が足りていない。
先日葛原妙子関連の本と、吉田隼人関連の本も併せて買ったけれど、まだこちらは読めずじまいになっている。
折をみて少しずつでも積読本を崩していきたい。
こうして積んでいる歌集も増えてきたところで、さらに読むべく、黒瀬珂瀾の『ひかりの針がうたふ』と『黒耀宮』を注文した。
できれば同氏の講座も受講できればいいなと考えているのだけれど、それは追々考えることになりそうだ。
作歌の方は、笹井宏之賞に落ちたので、その落選した歌を折本にした。
既刊はも併せてよろしくお願いいたします。
第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。 病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。
この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって
「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで
ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏
そして12月の歌会に備えて今ふたたび短歌を詠んでいる。これもいずれは折本にすべく、まずは新たに100首を揃えたい。そこから絞って30首、きちんと揃えて折本にしたい。
それはこれまでに折本を作ったり、投稿をしてきた経緯と全く変わらない。日々短歌を詠むという習慣をふたたび身につけたいところだ。
詩であればそこまで厳密な管理は必要ないのだけれど、短歌に関しては詠んだ歌の数をモチベーションにしている節はあるので、ふたたび進捗ノートを使って管理をしていきたい。
とにかく何かはじめないことには、この停滞した状況を脱することが難しい。
投稿もしたいし、引き続きしっかり短歌を読んで学び、そして日々作歌に励みたい。
今は二階堂奥歯『八本脚の蝶』を読んでいる。読めば読むほど、私はまだまだ読む量が足りないと痛感する。
Wikiによると、二階堂は葛原妙子に憧れて作歌をはじめ、短歌集団かばんに所属していたらしい。
今は創作仲間とつながるということに慎重を期したいので、今すぐというわけにはいかないが、いずれどこかのタイミングで結社に所属することも考えたいと思っている。
折本をお買い上げいただきありがとうございます&創作振り返り
新たに笹井宏之賞落選作50首の折本をお買い上げいただき、ありがとうございます。
第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。
病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。
この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって
「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで
ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏
短歌はなかなか思うように詠めなくてもどかしい想いをしているのだけれど、こうして応援していただけることが何よりの励みになっています。
この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
ここのところ日々消耗していて、全く本を読めていない。焦りばかりが募るのだけれど、無理に読もうとして読めるものでもないから、こういう時には読める本を探し出して読むことでつなぐしかない。
そうしてこの一年を送ってきて、小説を書くことができなかったために小説を読むことがとても困難になってしまったし、かといって詩歌集も思うほど読めなかった。
忸怩たる思いがあるけれど、そうはいっても何度希死念慮が頭をもたげたかわからないこの一年をなんとか生き延びただけでも良しとしたい。
成果としてはココア共和国に三ヶ月連続で佳作として採っていただけたことと、『図書館という希望』を上梓できたことだけども、それらも読んでくださった読者の皆様のおかげと、心から感謝しております。
ブログ「広寒宮」で綴ってきた図書館にまつわるエッセイに書き下ろしを加えた、図書館エッセイ集です。
「もうひとつの家」としての図書館との付き合い方や、蔵書にまつわること、一利用者から見たコロナ禍の図書館の記録、幼少期に通った図書館との思い出など、今だから読みたい内容をぎゅっとまとめました。
本書が図書館を愛するすべての人の友となりうることを心から願っています。
-収録作品-
図書館という希望
ふたつの棚
図書館という友人
ふたたび図書館へ一
図書館の使い方を模索する
コロナ禍の図書館について
蔵書の整理
ふたたび図書館へ二
先達の目とBANANA FISHにみる図書館の精神
図書館という知の海に漕ぎ出す
図書館で知を拓く
学校の図書室の思い出
非常事態宣言下の図書館
本書に登場した書物
来年も何らかの形で電子書籍を出せるといいなと思っているし、ココア共和国や、他の詩誌への投稿にも励んでいきたい。
病気で思うように創作ができなかったこの一年は随分と苦しかったけれど、来年はもう少し気持ちも楽になって、創作や読書に打ち込めるといいなと願っている。
うまくいかないことだらけでも、それでも一定の成果を残せたのは、それだけ自分自身が動いてきたという証拠でもあるし、まずはそれを認めて、次の飛躍へとつなげていきたい。
第四回笹井宏之賞落選作品を折本として公開しました
第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。 病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。
この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって
「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで
ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏
第四回笹井宏之賞落選作品を折本として公開しました。
ぜひDLしてお手元でお読みいただければ幸いです。
まだまだ力及ばずといったところで、短歌は本格的にはじめたのが今年からになるので、無謀な挑戦だったかなとも感じています。
それでもチャレンジしたことに意義はあったと思いますし、これからもゴシックな療養短歌というやりたい方向性を突き詰めていければいいなと考えています。
結社に所属していない状況なので、なかなか投稿は難しいなというのが実感ですが、いずれどこかの機会で所属することがあれば、さらなる上達を目指して励んでいきたいです。