広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

本を読めないとき

読書が趣味の柱である自分にとって、精神的に本が読めない時間というのは苦痛を感じずにはいられない。読もうと思っても目が滑ったり、そもそも本を手に取る気になれないということも多々ある。
そんな状態で無理に本を読もうと思っても致し方ない。そういう時は潔くあきらめて本を読まないか、読んだとしても生活の本や自己啓発本、新書など、軽めの本にとどめるようにしている。


そんなときに心強い味方になってくれるのが図書館だ。
気軽に読める本をあまり家に置かないタイプの人間にとっては、図書館に置いてある新書や一般向けに書かれた仏教の本などが揃っているのはありがたい。それも返してしまえば家に置かずに済むし、どうしても手元に置きたい本だけを選んで書店で買えるというのもいい。
気に入らなければ途中で読むのをやめてもいいというのも図書館で本を借りるメリットのひとつだ。心置きなく失敗ができるというのは、メンタルが参っている状態のときはさながらセーフティーネットのように安心感を覚える。
そもそも図書館という空間自体ひとつのアジールセーフティーネットであると思えば、私はそのセーフティーネットに生かされてきたと云っても過言ではない。
もっとも今の状況を打開したいとは思う。もっとハードな文芸書をたくさん読みたいし、読書は小説を書く上での筋トレでもあるので、筋力が鈍らないようにしなくてはとも思う。


それでも今の状況を許容しなければどうにもならない時もある。焦って足掻いてもどうしようもない時もある。読書というのは基本的に長期戦だ。一日読めばそれきりで終わりというものではなく、読書意欲にもどうしてもムラが出てくる。
それをノルマを課して乗り切るストイックなタイプならいいのだろうが、私はどうにもそういうタイプではなさそうだ。どうしても読む日があったり、読まない日があったりを繰り返してしまう。

 

そういう時にも図書館は威力を発揮してくれる。
図書館から本を借りれば返却日が設けられている以上は否が応でも読まざるを得ない。それが軽めの本であれば一日で借りてきた本の大半を読んでしまうこともあるし、そうでない本も無理のないペースで借りているので、読み終えられないということはあまりない。
多少読書意欲が湧かなくても、図書館の本だと自然と手が伸びるから不思議だ。こうしてみると、私の読書生活には図書館が不可欠なのだなということをあらためて感じる。


今図書館から借りている本は、NHKの「趣味どきっ! 幸せになる暮らしの道具の使い方」で紹介されていた甲斐みのりさんの本だ。

幸せになる 暮らしの道具の使い方。 (趣味どきっ!)

幸せになる 暮らしの道具の使い方。 (趣味どきっ!)

  • 作者: こぐれひでこ,相場正一郎,野村友里,山本浩未,甲斐みのり,引田ターセン&かおり夫妻
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/11/26
  • メディア: ムック
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奇しくも先日借りた東郷青児の本にも彼女のエッセイが載っていて、不思議な縁を感じたのだが、乙女のロマンティシズムを感じる文章を読み、ノスタルジックな写真の数々を見ていると病みつかれた心が癒されていくようで、これも「今まさに出会うべくして出会った」本なのだなと思う。

東郷青児 (らんぷの本) (らんぷの本)

東郷青児 (らんぷの本) (らんぷの本)

 
つまさきだちの日々 (幻冬舎文庫)

つまさきだちの日々 (幻冬舎文庫)

 

私自身はそこまで懐古趣味はないし、下町にも純喫茶にもさほど惹かれるタイプではないのだけれども、彼女の「好き」という気持ちを濃縮した本たちは、それ自体がひとつの宝物のようで、今の私にはきらきらと輝いて見える。
自分の「好き」という気持ちにこんなにも素直になれたら、きっと世界はもっと美しく見えるのだろうなとも思った。私は自分の「好き」という気持ちを作品に落とし込むことで、自分の心の支えにしているところがあるけども、彼女はこの世界に「好き」なものを見出して、自分の「好き」なものがあふれているこの東京という街を心から愛している。
そういう彼女の姿は立派だなと思わずにはいられないし、心からなぐさめられているような気持ちになった。
これも図書館での出会いがなければ彼女の本に実際に触れてみようとは思わなかっただろう。あらためて図書館という場所に感謝したい。