広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

【活動報告】廃都に冬来たり

◇掌編

惜春記

長いので折り畳みますが、オンラインに載せる小説としては久しぶりの作品なので、普段私の書く小説を読まない方々にぜひ読んでいただきたいです。

高知県立大学の蔵書の焼却処分問題に衝撃を受けたのと、両親によって自分自身の蔵書を守れないのではないかという現実の危機に直面したこと、数年前に自死をぼんやり考えていたときに「自分の蔵書はどうなってしまうのだろう」と考えたことなどが下敷きになっています。

www.fnn.jp

こういうツイートを見てしまうといろいろと考えてしまって……。そういうもやもやを掬い上げたくてこの掌編を書きました。

伊藤計劃にはだいぶ影響を受けています。

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 ハーモニーはもうかれこれ三四度ほど読んでいて、ミァハが蔵書を焼却処分する描写はいつまでも心に残っています。彼女の元ネタは云うまでもなく『華氏451度』のクラリスなんですが。

屍者の帝国 [Blu-ray]
 

それから劇場版「屍者の帝国」を観たときに、死者の言葉をいかに扱うかという問題をはじめて意識したこともこの作品のベースになっています。同時に宗教はSFという世界で生き残れるのか? という疑問も反映させました。

いま世界の哲学者が考えていること

いま世界の哲学者が考えていること

 

 この辺はこの本が種本になっています。

 

◇Twitter300字SS

http://star-bellflower06.tumblr.com/post/182496837884/歌姫の春

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お題が「薬」ということだったので、いつもなら間違いなく「毒薬」を選んだと思うのですが、先日久しぶりに失声症の症状が出たのでこういう詩になりました。西洋風の詩の抽斗が欲しいです……切実に。

 

 

◇詩

http://star-bellflower06.tumblr.com/post/182471763152/かぐや姫の歌

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自分だけのかぐや姫の物語を描いてみたくて詩にしてみたものの、詩という形式で収まるものではないので、いずれ小説にしたいなと思った一作です。夜に夢幻に遊ばなくなってしまって久しいのですが、かぐや姫ごっこは私のお気に入りの遊びのひとつでした。

 

http://star-bellflower06.tumblr.com/post/182653208932/或詩人

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金井美恵子が「小説が書けないこと」を小説にしていたので、私も「詩が書けないこと」を詩にしようと思って書きました。

 書けないという圧倒的な世界に閉じ込められていると感じる時、すでにわたしは書きはじめようとしているのではないか。そして、これは多分作家というものが誰しもそうであるように、わたしは自分の書いた小説(…)よりも、読むことの出来る無数の好きな作品を読むことのほうが好きなのだ。読むということにつきまとう、嫉妬を含めて。――金井美恵子プラトン的恋愛」

こうした旅行につき纏って、いつも小説のノートを持って行ったことを思い出し、常にまだ書かれずにいる小説の最初の呼びかけの声をきこうとしていたことを、わたしは涙ぐましくなりながら西陽で湯の表面が桃色の金属のように輝いている風呂場の中で思い出したりした。――金井美恵子プラトン的恋愛」 

あなたが決して書かなかった部分ーーいうまでもなく、御存知とは思いますが、あなたの書いたのはほんの一部分で、書かれなかった部分のほうが圧倒的に多いのですがーーその、書かれなかった時間の連続性のなかで、ぼくは生きているのではないでしょうか。 金井美恵子「窓」

ピクニック、その他の短篇 (講談社文芸文庫)

ピクニック、その他の短篇 (講談社文芸文庫)

 

 ちなみに「詩人の末期は儚いものです」と書いたときに、筋肉少女帯の「サーチライト」の「詩人の末路は哀れと聞くぜ」を思い出して胸が痛くなりました。ひりつくような私の青春の一曲です。


サーチライト

 

◇俳句

http://star-bellflower06.tumblr.com/post/182317367862/廃都に冬来たり

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http://star-bellflower06.tumblr.com/post/182127875897/睦月幻想

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一月は月初めからずっと体調を崩していて、おかげで俳句を詠むのがはかどりました。

西洋風の句もどんどん挑戦していきたいなと思っています。

神話をベースにした「神牀にかつて重ねし足環かな」が個人的には気に入っているのですが、裕真さんからは「絶滅せる鳥を作りし機械工」が好きというお言葉をいただきました。ありがたいです。

「真紅なり白兎屠れる兄の靴」は葛原妙子を意識してみました。彼女の短歌はまだきちんとした形で読めていないので、まだまだ学ぶべきところが多そうです。