広寒宮

アマチュア作家・雨伽詩音の活動報告その他諸々

異性を描くということ

私は小説の中で異性を描くのが本当に下手で、『文芸ラジオ』1号に寄稿した「翡翠譚」に出てくる仙人・白翠も、読者の方から「女性だと思っていた」と評され、今回『かもめソング』に寄稿した「翠の鳥」の主人公・清雪も、校正会の段階で、メンバー全員から「女性だと勘違いしていた」という評価を下された。もともと清雪の名は「玉雪」と書いていたこともあったのだろうが、私は日本文学でも中国文学でも、男性的な名前というものがどうにも好きになれず、例えば私がこよなく愛するチャン・イーモウの映画「HERO 英雄」でも飛雪(フェイシェ)という名前の女刺客にどれほど焦がれたかわからない。もっともそれはマギー・チャンが演じていたというのも大きな理由の一つだったのだろうけれども。

今書いている小説の登場人物の名前も「白蓮」と書いていたが、「これは女の名ではあるまいか?」と思い、「墨蓮」に改めた。ボクレンとはなんとも味気ない響きだ。
恥ずかしながら未読なのだが、源氏物語に出てくる男性は「薫」「夕霧」となんとも美しい。私としてはそういう風情に惹かれる心のままに男の名前をつけるのだけれど、読者に誤解を与えては元も子もない。

ならばもういっそ性別を越境した存在を描いてしまえばいいのではないかと思い、『かもめソング』の校正会を経て生まれたのが「翠の鳥」に登場する帝で(名前はまだない)、彼もしくは彼女の物語をいずれ書きたいと思っている。

性別を越境する面白さを私に伝えてくれた原点は、おそらく少女漫画の『フルーツバスケット』に登場する草摩慊人や、『ベルサイユのばら』のオスカル、萩尾望都の『11人いる!』のフロルベリチェリ・フロル、そして茅田砂胡ライトノベルデルフィニア戦記』のシェラなど、数多く存在している。

 

 

11人いる! (小学館文庫)

11人いる! (小学館文庫)

 

 

ベルサイユのばら(1)

ベルサイユのばら(1)

 

  

放浪の戦士 デルフィニア戦記1 (C★NOVELSファンタジア)

放浪の戦士 デルフィニア戦記1 (C★NOVELSファンタジア)

 

 


自分自身、性別というものを曖昧なものとして捉えてきたという実体験もあり、自分自身が女性であるという認識をおとなしく受け入れるに至ったのは二十歳を過ぎてからのことだった。
この性の狭間にいる葛藤は長らく私を苦しめ続けてきたが、長らく付き合っている今の恋人からも「雨伽は男子高校生みたいなところがあるからね」と云われて、ああそれでいいんだなと腑に落ちてからだいぶ楽になった気がする。
まあそれはさておき、私はきっとこれからも女性のような男性を描き続けるのだろう。観音像を理想美の一つと捉えるように。